さて、前編では、
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こども園は学校ではない
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学級閉鎖ができないのは法律の関係
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でも出席停止はできる(なぜならハイブリッドだから)
という、少し複雑な背景をご紹介しました。
ここからは、いよいよ本題――
「実際どうするの?」「どんな矛盾が起きてるの?」に踏み込みます。
■年長は“ほぼ学校”なのに学校じゃない矛盾
認定こども園の年長クラスは、もうほとんど学校です。
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卒園準備
- 就学支援
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生活リズム
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行事
9割が学校の生活とリンクしています。
それなのに制度上“学校じゃない”ので学級閉鎖できません。
現場の職員も心の中でうっすら思っています。
「これは制度のほうが現実に追いついていないのでは?」 と。
■1号認定児は“幼稚園児”扱いなのに閉鎖不可の矛盾
認定こども園には
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1号認定(教育利用=幼稚園児)
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2号認定(保育利用=保育園児)
の2つの利用区分があります。
このうち、学校にいちばん近いのはもちろん 1号認定(幼稚園児)。
内容も生活も、やっていることはほぼ幼稚園そのものです。
ところが――
どれだけ感染が広がっても こども園では学級閉鎖ができません。
同じ「幼稚園児」であっても、
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幼稚園 → 学級閉鎖できる
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こども園の1号児 → できない
という実に不思議な構造になっています。
……これはいったい、誰のための制度なのか。
つい考え込んでしまう瞬間です。
■「閉鎖できないほうが社会インフラが止まる」という逆転現象
国の考え方はこうです。
こども園や保育園は生活支援インフラ。閉鎖すると保護者が働けなくなる。→ だからこども園は閉鎖しないでね。
しかし実際に現場で起きるのは……
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園児が大量に感染
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職員も感染
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家庭にも広がる
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園の機能が低下
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結果、働けない家庭が増える
つまり、「閉鎖しないことで余計なダメージが拡がる」という逆転現象が起こります。
これぞまさに“制度と現実のすれ違い”。
■実際、園ではどう対処してるの?
法律は閉鎖できないと言っている。でも現場は感染を止めたい。
その結果起きるのが…
● 登園自粛のお願い
● 集団活動の縮小
● 家庭との連携強化
● 実質「閉鎖に近い」状態をつくる
つまり、名前は違うけど中身は学級閉鎖という状態になることが多いのです。
もういっそ正式に認めてもらった方がいいのでは?という気持ちが、現場共通のあるあるです。
■最後に:制度が追いつく日を待ちながら
認定こども園という制度は、まだ若い制度です。
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働く保護者を支える
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子どもの育ちを保障する
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幼児教育も提供する
という、大きな役割を背負っています。
しかし――
感染症対策など“非常時の制度”はまだまだ追いついていないのが現状です。
制度にいろいろツッコミどころはありますが、結局いちばん力を発揮するのは、
「園と家庭が協力して乗り越えること」
これに尽きます。
法律の矛盾には軽くツッコミを入れつつ、それでも子どもたちの毎日を守るため、
園は今日も“気合いと知恵”でなんとか踏ん張っています。
前編・後編を通して、この“不思議な制度の仕組み”が少しでも伝わっていれば幸いです。


